森の奥深く、あるいは廃れた村の薄暗い路地で、色白で美しい少女が夜ごとに男性を誘うという噂があります。彼女は一見無害に見えるものの、その正体は人々の生命力を貪り、巣を広げる怪異「白誘ノ少女」です。
生物の名称
白誘ノ少女（しらゆうのしょうじょ）と呼ばれています。直訳すると「白い誘いの少女」で、その名のとおり透き通るような色白の肌と、どんな男性でも恋に落ちるような美貌を持つことからこの名が付きました。
生まれ方・増え方
白誘ノ少女は寄生型の繁殖を行います。魅了した男性の体内に卵を産み付け、宿主の生命力を吸い取って成長します。卵は宿主の臓器をゆっくりと侵食し、数週間後には土色の卵嚢となって体外へ排出されます。卵嚢は洞窟や井戸の中で孵化し、幼体が暗闇の中を這い出してくる姿は鳥肌を誘います。
生態
通常は美しい少女の姿で徘徊し、人間の男性を誘惑しては自らの住処に誘い込みます。獲物と二人きりになると背中から黒い触手や昆虫のような脚が伸び、抱きしめるようにして動けなくしたうえで生命力を吸い取ります。吸収したエネルギーは自身の身体を修復し、卵を育てるために使われます。
分類
未確認生物（UMA）に分類される存在であり、人型擬態寄生獣に属すると考えられています。外見は哺乳類に近いものの、内部構造は節足動物や寄生虫に似た器官を持つことから「暗妖類」という独自のカテゴリが提唱されています。
習性
夜行性で、昼間は洞穴や井戸の底、廃屋の地下室など陽の当たらない場所で休眠します。獲物を狩る際は、純真無垢な少女を装って近づき、相手が心を許した瞬間に本性を現します。獲物に対しては慈しむような表情を浮かべるため、外から見るとあたかも抱き合っている恋人同士のように映ることもあります。
生息地
主に人里離れた山間部や、長く放置された村の近くに生息すると言われています。湿度が高く暗い環境を好み、井戸や洞窟の奥、地中に作られた巣穴に複数の卵嚢を隠しています。
ストーリー
ある村で若い男性の失踪が相次いだことがありました。村人が捜索したところ、廃井戸の中から不自然に膨らんだ卵嚢と白骨化した遺体が見つかり、その側には色白の美少女が泣きながら佇んでいたと言います。しかし少女が振り返った瞬間、背中から伸びた無数の触手が村人たちを襲い、数名が行方不明となりました。以降、その村は廃村となり、「白誘ノ少女の呪い」として恐れられています。
主な倒し方・弱点
白誘ノ少女は強靭な肉体と再生力を持ちますが、太陽光や強い塩分には耐性がありません。日光に晒されると肌が焼けただれ、しばらく動けなくなります。また、鏡や水面に映った自分の本当の姿を見ると錯乱状態になり、逃走することが確認されています。純鉄製の武器や清められた塩水を用いることで動きを封じることが可能です。
人間との関係
彼女が人間を襲うのは、繁殖のためだけではなく、自己維持に必要な生命力を奪うためでもあります。特に欲望に駆られた男性に惹かれる傾向があり、その心の隙につけ込んで近づきます。一方で、純真な心を持つ子どもや動物にはほとんど興味を示さず、遭遇しても放置することが多いと言われています。
美貌と純真さの裏に潜む恐怖。白誘ノ少女は、人間の欲望や無知につけこむ怪異そのものであり、夜の闇に潜んでいるのかもしれません。
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