トリポフォラス
トリポフォラスは暗く湿った洞窟や廃坑で目撃される架空の恐怖生物であり、その身体は子供のような顔と昆虫や軟体動物を思わせる異形の特徴が混在している。胸と背中には蓮の種のような穴が無数に並び、緑色の粘液が滴り落ちており、顔の周りには濡れた触手や複眼が突き出している。その姿を見る者は強い不安と嫌悪感に襲われる。

生まれ方・増え方
トリポフォラスは繁殖期になると暗所の岩肌や生きた宿主の体内に半透明の球形の卵嚢を産み付ける。卵は湿った環境から養分を吸収し、数週間かけて小さな幼体へと育つ。幼体は周囲の水分と有機物を取り込みながら成長し、母体や宿主を破壊することなく静かに外へと這い出てくる。宿主となった生物は倦怠感や異物感を覚えるが、外傷はほとんど残らないため、いつの間にか周囲に新たな個体が増えている。

生態
通常は地下深くでひっそりと暮らし、洞窟壁面の微生物や鉱物を舐め取って栄養を摂るが、動物の体温や呼気に敏感で、時折地上へ這い出しては小動物や迷い込んだ人間を襲って捕食する。湿った皮膚の表面には細菌や苔のような共生生物が繁殖しており、それらも一緒に糧としている。
分類
分類学的には既存のどの系統にも属さない未確認生物だが、昆虫の脚と軟体動物の触手、爬虫類の鱗の名残を備え、胸腔には複数の気嚢があり奇妙な湿った呼吸音を発することから、「寄生性爬虫類型クリーチャー」とも呼ばれる。外皮は半透明で内側の筋肉が透けて見えることがあり、このことがさらに不気味さを増している。

習性
夜間になると洞窟や下水道の奥からゆっくりと這い出し、穴だらけの胸部から発するフェロモンで獲物をおびき寄せる。湿った触手は獲物に絡み付き麻痺性の粘液を注入し、動きを封じてから口器で体液を吸い取る。人間に対しても好奇心と食欲を示し、近づきすぎた者に襲いかかることがあるため極めて危険である。

生息地
深い洞窟、廃坑、山間部の鍾乳洞、古い下水道など日の光が届かない湿潤な場所に生息する。特に人里近くの廃村やトンネル付近で目撃例が多く、地表と地下を結ぶ隙間から出没することがある。
ストーリー
数年前、とある山村で子どもの失踪が相次ぎ、捜索隊が洞窟を調査したところ、奥深くで無数の粘液に覆われた卵嚢と奇妙な骨片が発見された。やがて生還した村人の一人は「暗闇の中で幼児のような顔が笑いながら這い寄ってきた」と証言したという。その後、洞窟の入口は封鎖されたが、今もなお付近では夜に湿った呼吸音が聞こえるという噂が絶えない。
主な倒し方・弱点
この生物は湿潤な環境に適応しているため、乾燥と強い光に弱い。特に太陽光や強力な懐中電灯の光を直接浴びると皮膚がただれ、しばらく動けなくなる。乾燥剤や塩を穴に詰めると粘液の分泌が止まり弱体化することが報告されている。また、火や高熱にも敏感で、体表の微生物が死滅すると活動が鈍るため、火炎にさらすことも有効だとされる。

人間との関係
トリポフォラスは人間にとって恐怖の対象であると同時に、古くからその存在を信仰や儀式に取り入れてきた集落もあると噂される。廃村にはこの生物の姿を描いた壁画が残されており、豊穣や復活の象徴として崇めていた形跡がある。しかし現代においては都市伝説や怪談として語られることが多く、好奇心で近づく者が行方不明になる事件が後を絶たない。
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