欲晶虫(よくしょうちゅう)グリーディアム

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洞窟の奥深く、鉱石の壁に紛れるように生息している、小さくてゴージャスな姿の生物。その体長は5〜10cmほどで、背中には深紅の宝石のような結晶が張り付いており、一見無害でむしろ可愛らしい。しかし、この「欲晶虫(グリーディアム)」は人間の欲望を好物とする恐ろしい捕食者だ。

生まれ方・増え方

グリーディアムは卵生で、卵自体も磨いた宝石のように丸く光る。洞窟の隙間や鉱脈の中に産み付けられた卵は、欲深い人間にとっては珍しい宝石としか見えない。そのため、高価な鉱物と勘違いした採掘者や観光客がうっかり持ち帰ってしまい、温かい手のひらの上で卵が孵化することもある。孵化した幼体は親と同じく硬い外殻を持ち、最初に触れた生き物に牙を立てる。さらに、欲望に憑かれた人間の体内に卵を産み付けることもあり、貪欲な心の鼓動を栄養に分裂して増殖するという嫌悪すべき生態が報告されている。

生態

グリーディアムは暗く湿った洞窟の奥に集団で暮らし、鉱石の隙間や岩陰に擬態して身を潜める。彼らの感覚器官は人間の脳が放つ微弱な電気信号に共鳴し、とくに「欲しい」という感情に敏感だ。洞窟に人が入り込み、宝石を探して興奮すると、グリーディアムは背中の結晶を輝かせ、煌めきで人間を誘い出す。毒は持たないが外殻は非常に硬く、掴もうとすると鋭い牙で容赦なく噛みつく。怒りを感じると小さな体でありながら体当たりを繰り返し、硬質な甲羅で骨を折るほどの威力を持つ。

分類

生物学的には節足動物門・甲殻綱に近いが、体組織の大半が鉱物化しているため、鉱石甲殻類(学名:Mineralia carapacius)という独自の亜目に分類される。グリーディアムはその中の欲晶虫科に属する。

習性

普段は岩や結晶に紛れて動かないが、近くで欲望に満ちた心臓の鼓動を感じ取るとゆっくりと移動し、タイミングを見計らって飛びかかる。小さくて可愛い姿からペット感覚で手を伸ばされることもあるが、その瞬間に噛みつかれた人間は体内に卵を植え付けられる危険性がある。彼らには毒がなく、獲物は主に栄養源として欲望そのものを吸収するため、純粋な心を持つ者や無欲な者には興味を示さない。

生息地

主に火山地帯や鉱物資源が豊富な山岳の洞窟に生息する。内部が暗く、高湿度で、鉱石が多数存在する環境を好み、日本各地では閉鎖された鉱山や立ち入り禁止の鍾乳洞などで目撃例がある。光を嫌うため地表にはほとんど姿を現さない。

ストーリー

ある山村で、宝石の採掘ブームが起こった。次々と出る奇妙な赤い石に村人たちは狂喜し、外部の商人まで押し寄せた。しかし数日後、採掘に携わった者たちが相次いで姿を消した。調査に入った者たちは洞窟の奥で異様な光景を目にする。赤く輝く結晶の中に人間の姿が囚われ、外側には小さな生き物が群がっていたのだ。その生き物こそがグリーディアムであり、彼らは欲望に取り憑かれた人間を捕食し、体内の結晶に閉じ込めていた。純粋な心で村人の行方を探していた少年だけが生き残ったと言われる。

主な倒し方・弱点

岩石のように硬い外殻を持つため、通常の武器では傷つけにくい。しかしグリーディアムの結晶は光に敏感で、太陽光や強い紫外線を浴びせると内部からヒビが入りしばらく動けなくなる。また、純粋な心に反応しない習性を利用し、無欲な者が近づいて捕獲する方法もある。意外なところでは高周波音や鐘の音が嫌いで、教会の鐘を洞窟に鳴り響かせると震え上がって逃げ出すという。

人間との関係

グリーディアムは基本的に人間をエサとして認識しておらず、欲望というエネルギーを吸収するために襲う。宝石を採掘する者や富を求める者ほど狙われる傾向が強い。そのため、古くから鉱山師たちは「欲を持って洞穴に入るな」と戒められてきた。近年では闇の宝石商がグリーディアムの背中の結晶を採取し高値で取引するために密猟する事件も発生しているが、彼らの硬さと繁殖力の高さから返り討ちにあうことが多い。

解剖図

研究者によると、グリーディアムの体内には内臓らしき器官が存在せず、身体全体が結晶質の鉱物で構成されている。外殻の内側には貯蔵庫のような空洞があり、そこに欲望を吸収した結晶が成長している。そうした構造が彼らに並外れた硬度を与え、外的な攻撃に耐える能力を高めていると考えられている。

おまけ:ねんどろいど化

恐ろしいグリーディアムも、デフォルメすればこんなに可愛いフィギュアに早変わり。実際に存在すれば危険極まりないが、飾り棚の中なら安心だろう。

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